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修善寺 あさば

私のような道楽者には、どうしても訪れなくてはならない旅館がいくつかある。その筆頭ともいうべき旅館あさばに、先日ようやく訪れることが出来た。

私はこれまで様々な旅館やホテルに泊まってきた経験上、どんな宿にも行く前から多大な期待を持ちすぎないよう心がけている。ただ、今回だけは違った。「あさば」ともなればさすがに期待するなというほうが難しい。あの能舞台が見られる、あの穴子の黒米鮨が食べられる・・・。気持ちの高ぶりが押えきれない!

まず、感想は先に記しておく。
ここまで全ての面に置いて完璧に期待以上の満足感を与えてくれた宿は、これまで初めてである。あの門をくぐってから出るまで、全てに置いて満足。仲居さんは「100%を求めてこられるお客様が多いので難しいんです・・・。」と仰っていたが、これは「常に頂点に立ち続ける」旅館でこそ持ち得る悩み。無論我々は100%など求めていない上、もしそのような期待を持って行ったとしてもここ「あさば」は我々を充分に満足させてくれたに違いない。

ということで、紹介。
あさば 門

立派な門。他の追随を許さない風格が備わっている。
門をくぐるとすぐに係りの方が我々を迎え入れてくれた。そのままお部屋までご案内。
部屋景

なんと!能舞台から真正面の部屋!これは嬉しい!予約の際、庭付き風呂付の部屋で能舞台側でない部屋と迷ったのだが、「初めていらっしゃるのでしたら能舞台側のお部屋が宜しいかと。」と薦められるままに風呂無しの部屋にしたのだった。これは正解!数ある部屋の中で最も能舞台に近いお部屋だった。部屋から出るとすぐに大浴場、家族風呂が二つあるので、部屋風呂ははっきり行ってなくても充分。それよりこの眺めの素晴らしさにしばらくうっとり・・・。
あさば部屋景2

お部屋で蕎麦茶と饅頭(2箱持ち帰り注文!)をいただく。窓を開けると池に鯉や鴨が泳いでいる。のどかだなぁ・・・。

廊下

ロビー

ロビー2

少し休んで、ロビーを通ってサロンにお茶を飲みに。ここのロビー、フロントは素晴らしい。最近良くある、デザイナーズ家具を無理矢理置いたような感じではなく、ただ必要な場所に必要なものが室内にバランス良く置かれている。まさしく「引き算の美学」である。

係りの方にお願いして、ロビーの外に出して頂いた。
あさば景色

ここからの眺めも素晴らしい。記念撮影☆
そしてサロンへ。

サロン1

サロン2

サロンもさっぱりしており、風景になじんでいる。
サロン 眺め

手前には渡し舟が。野村萬斎等能舞台の出演者はこれに乗って舞台まで行くのだろうか。

サロンでゆったりした後は温泉へ。
野天風呂

こちらの野天は入浴専用。池に面しており、正面の竹が美しい。
あさばの湯はアルカリ性単純泉。肌がピリッと艶が出て気持ちがいい。

温泉でゆっくりして部屋に戻ると、仲居さんが挨拶に見えた。ここでようやくチェックイン。「そういえばチェックインしてなかったのか」と思い返すほどの気楽さ。この辺りホスピタリティの素晴らしさを感じさせる。

あさば夜景

あぁ・・・。
あさば夜景2

あああ・・・。
ライトアップされ幽玄と聳える能舞台。堪らぬ美しさ。ここで350年もの間たくさんの先人達が夜を明かしたと思うと、まさに堪らぬ想いが込み上げる。「あさば」名旅館だがは決して高級旅館ではない。「茶寮荘園」や「かわせみ」等、高級旅館というのは日本でも他に沢山ある。しかしここは違う。元は湯治宿から始まった庶民の宿。現在は能舞台を設え、350年間歴史を刻み続けた伝統の宿。唯一無二。これが「あさば」の魅力なのだろう

待ちに待った夕食の時間。
ボランジェ

何と!私のフェイバリットシャンパン「ボランジェ」がメニューに!これは本当に嬉しい。この能舞台をバックにボランジェ・・・。夢のような時間だった。

食事は文句なし。修善寺の干物屋のオヤジが言っていた「あさばさんにお泊りになるんかね!あそこの料理は最高だぞ!あの料理長はなんたって『仕事が趣味』だから。間違いない。あさばさんなら間違いない。『仕事が趣味』だから」と言うのは本当だった。仲居さんに告げると「板長はあのおじさんが宣伝してくれるたびにプレッシャーを感じて嫌がってるんです・・・。普通ですよ、うちの料理は。」と恐縮していたが、ほんっとうに美味い!いと美味し。「あさば」ではこれが当たり前なのだろう。

まずは竹の子と海苔の揚げ物
竹の子揚げ

竹の子の食感。。。今後の料理を期待させるに充分な一品。

そして季節の盛り合わせ。
季節盛り合わせ

白魚とボランジェが最高にマッチ。竹筒の中のサーモンも絶品だった。

田芹と太刀魚の吸い物
吸い物

私の好物、太刀魚だ。これもたまらない。芹のシャキシャキ感と太刀魚の甘みが口中に広がる。

そしてお造り。
お造り

鯛と槍いかだ。
湯葉刺し

言うこと無し。

驚きの鰆だ。
鰆

これは凄い。鯖かと思うほどの厚み!食感も豊かで、そしてシャンパンに完全に合う!素晴らしい・・・。

海老の惨薯
惨薯

実の残り方の程よさと、すり身の旨みが詰め込まれている。付け合せはふきのとうの天ぷら。

和え物は
とこぶし

浜防風ととこぶしの酢の物。
しゃきっとした浜防風と「あわび」のような食感のとこぶし。もう満足・・・。でも今日はまだまだ!メインまで☆

青豆万頭
青豆

これも名物。驚くほど旨い。餡を絡めていただく。頬が落ちる感じとはまさにこういうものを食べた時使う台詞だろう。

そしてあにゃご!
あにゃご

とある美食社長に良く連れて行っていただく六本木の鮨屋で、最高に旨い穴子を「あにゃご」と呼ぶ(内輪で)。ここの穴子はまさに「あにゃご」である。修善寺名物の黒米がこのあにゃごに良く合う。唸る旨さ。またまた堪らない。

食事の前に角煮。
角煮

食い意地の我々は食事が出るまで待つ。角煮は飯と一緒に頂きたい。我慢できず一口。やはり旨い。出汁が良くしみ込んだ、素晴らしい角煮だ。しじみの沢山入った味噌汁も旨かった。

さぁデザート。
有名なアイスが供されると思いきや・・・。その前に一品あるとのこと。3つ選べる中から我々はブラマンジェを選択。
ブラマンジェ

美味すぎる・・・!こっこれは!
これまで食べたスウィーツの中でNo.1かもしれない。食感、甘み、温度、どれをとっても最高!いやー、、、参った参った・・・。

アイス

締めはやはりこのアイス。かぼちゃ、ジンジャー、グランマニエ。3つとも食感が違う。もっちりすっきり締めには最適。

完璧だ。これが「あさば」のスタンダード。無駄に量が多いわけでもなく、全て食べきれる上全ての料理が非常に質が高い。嫁と「どれが一番?」という話をしたが、どちらも決められなかった。それほど全てが素晴らしかった。仲居さんも親切で、料理の取り分けから説明まで非常に良い距離で接してくださった。

風呂に浸かり、日ごろの疲れを癒す。素晴らしい時間だ。修善寺は遠いというイメージから、何故かこれまで縁が無かった「あさば」。着いてみれば新幹線と特急で2時間。なんて事ない。

そしてもう一点、特筆すべきものは「布団」だ。噂には聞いていたが「あさば」の布団、寝心地が良すぎる・・・。マットレスか敷布団か?ウチのサータもこれには負けたかな・・・。そんな事を考えながら、いつの間にか就寝。


朝は8時半から朝食。まずは玉子焼き(焼きたて)から。
朝食1

そして生椎茸の炭火焼!絶品!
しいたけ焼1

しいたけ焼2

煮物、がんもが美味い。
煮物

金目の焼。
金目

これは旅館の計らいだろうが、朝食の味付けが薄めに作られている。これには感激した。朝から食事に飽きない様に、量が食べられるように、そして身体を考えての計らいだろう。朝食は薄味に限る。それでも当然のことながら、出汁がしっかり利いており、美味い。
いちご1

いちご2

いちご☆新鮮でしっかりした食感があり、美味い。

朝食後は湯に浸かり、チェックアウトの11時半まで寝たり、サロンでサービスのコーヒーをいただいたり・・・。旅館の朝ってどこもせかせかするものだが、ここは本当にゆっくりできる。

夜落ちてきた雨も、運良く朝には止み徐々に陽が差してきた。
朝景

そしてお別れ。結局12時をまわるぐらいまでゆっくりさせていただいた。チェックアウトが済み、見送りまで最高のもてなしを味わう事が出来た。

「あさば」はやはり「あさば」だった。ここが数多の名旅館達に常に意識される存在であり続ける理由が解ったような気がする。「次は紅葉の季節に。」嫁との約束だ。いつ来ても不変の感動が得られる旅館。「特別な日に」とか「記念に」来る場所として相応しくないわけではないと思うが、私にとっては普段、ふらっと感動できる旅館として永遠にあり続けて欲しい、そんな唯一無二の場所だった。

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Author:ワインキュレーターKzM
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